地域墓制の複雑度とは聞き慣れない言葉ですが、葬墓制の様相を評価する新たな視点として導入しました。この分析では、縄文晩期の墓地を下図の表のように4類型に分類し、地域内での組合せ状況から複雑度を評価しました。分布地図と各地域の類型構成(図下側のグラフ)をみると、晩期前葉は多くの地域で異なる墓地類型が混在しており、各地域で墓制の複雑度が中葉よりも高い状態であることがわかります。それとともに、津軽・青森地域で類型3が主体を占め、米代・森吉地域と八戸・二戸地域では類型4が多いという地域性にも気づきます。
晩期中葉には、地域的な特徴が顕著になるとともに、各地域の墓制の複雑度は減少しているようです。日本海側の津軽・青森地域では類型1が、太平洋側の八戸・二戸地域では類型4がそれぞれ優勢となります。八郎潟・秋田地域でも類型1が主体となります。米代・森吉地域では墓地数が大きく減少しますが、前葉と同様な構成かもしれません。